文/岡田百合香 イラスト/茂原敬子
※この記事はyenishiが作者である岡田百合香さんに企画依頼し、承諾を得て公開しています。無断での転用・転載はご遠慮願います。適切な目的でのご利用希望の際はこちらにお問い合わせ下さい。

今回の主人公は、怖い顔して眉間にしわ寄せて、
何となく近寄りがたい雰囲気の一徹部長。


営業3課の部長の織田一徹さん。年齢は45歳。オッケー商事は新入社員からの会社です。
今まで、様々な部署を経験し実績を積み上げて、部長というポジションには40歳で抜擢されました。
仕事もでき、マネジメント能力も長けているので、周りからの信頼は厚いタイプ。しかし、見た目が怖く、厳しいので若い社員には敬遠されがちです。
本日は、4月1日の入社式です。
一徹部長は、営業3課に入ってくる新人2名を観察しています。
(あの女子は可愛らしくて素直そうだな。良かった。う~んあの男子は、良くしゃべっていて落ち着かない奴だな。大丈夫か!)
(私が入社した20年前くらいは、バブルがはじけて就職が全くなかったんだよな。大学時代はいい想いして、アルバイトして金も貯まって、遊んで、だから大学院に行こうと思ったら、就職する時期に
バブルがはじけたんだよな~。あの時は悲惨だった。50社以上落ちたな!大学院行かなければバブル入社できたんだが、あの時大学卒業してバブル入社した友人たちは、同じ会社にいる奴は殆どいないよな。
そう思えば、どこにも内定もらえずに悪戦苦闘して、やっと勝ち取ったこのオッケー商事は、絶対辞めるわけにはいかないんだ。こんないい会社はないんだよ。だから新人達にも、この会社で一生懸命働いてもらわなければならないんだ!!)と感慨深げに回想していたところ、
「部長、一徹部長!!大丈夫ですか」とさゆりさんが心配そうに声をかけてきました。
「あっ、ちょっと私も新入社員時代を思い出していたんだよ。さて、あの2名が3課に入ってくる新人2名だ。宜しく頼むよ」
「はい、部長任せて下さいね」
(さゆり君はいつも頼りになるな)
一徹部長はとにかく仕事ができます。昼間は殆ど外出。大手クライアントさんに出向きサポートです。クライアントからとても信頼が厚く、気にいられているので、毎日の外出と、帰社するとデスクワークやミーティングと、ゆっくりする時間はありません。
いつも眉間にしわ寄せて忙しそうです。
新人に関しては、さゆりさんや涼太課長に任せっきりです。

久しぶりにオフィスで、書類チェックする一徹部長
「さゆり君、あの書類はどうなった?」
「あ、少々お待ちくださいね」
「めぐみさん、できた?」と小声でめぐみさんに声をかけました。
「えっと、あと少しなんですが。。。」
「部長、あと少しで出来ます」
「あと少しってどれくらいだ!1時間後に出てしまうぞ」
「はい、かしこまりました」
(どうせまた、めぐみ君が終わっていないんだな。まあ新人だから仕方ないが。。。)
ちょっとイライラした顔の一徹部長です。
新人が配属されて3ヶ月経ちました。
ある日の涼太課長とのミーティング。
「A社の件はどうなった」
「はい、部長、現在は売り上げも伸びてきて順調です。昨年の問題点も改善できました」
「そうか!さすが涼太課長だな。分析力もあるので助かっているよ」
「ありがとうございます。部長、相談があるのですが、この時間に宜しいでしょうか」
「ああ、いいとも。何かあったのかな」
「はい、新人の夢夫君の件です。彼はクライアントにも評判がいいですし、明るく元気で、叱っても立ち直りが早いので、教えたかいがあります。ただ、調子に乗りやすくて、何度もミスがあるので、私もどう指導していいか、悩んでいます。一応マニュアル刷新したり、分かりやすくタスクごとに書いてみたりして、これから渡す予定ですが、部長からご意見があれば、是非伺いたいです」
「なるほど!あの調子いい夢夫だな。いい奴なんだが、ミスが多いよな」と言いながら、今までの成功事例を少し自慢げに上から目線で、アドバイスしました。
涼太課長は、冷静に一徹部長の話を聴いて、メモしています。
このように、自分を尊敬してくれる部下は大好きな一徹部長。やっぱり自分は出来る!と自信満々です。
(やっぱり私はできる!)満面の笑みを浮かべることもあります。
さて、一徹部長は仕事もでき、マネジメント力もあります。部下からも信頼はあるのですが、自分ができるので、人にもそれを強要しがちです。また、自分の思い通りに部下を動かしたいと思うので、素直なさゆりさんや冷静な涼太課長とは、上手く仕事が進むのですが、オドオドするめぐみさんや、言いたいことを言う夢夫君という2名の新人には、怒鳴ってしまうこともあります。
一徹部長も怒鳴ってしまうのは、良くないことと分かっていますが、忙しいとついついイライラしてしまい、声を荒げることもしばしばです。
やはり、厳しい頑固おやじタイプです。

そんな一徹部長も、クライアント先では常に笑顔です。
「どうもいつもお世話になっております。御社のおかげです。ありがとうございます」と低姿勢ではなく、堂々と感じよく接しています。
そのために、やはり信頼は厚い。
それを社内でしてくれればいいのですが、社内に戻ってくると、厳しい顔に変身してしまいます。
しかし、社内で厳しい顔の一徹部長も、さゆりさんにはホッとするらしいです。
外出先から戻ってくると、さゆりさんは「一徹部長、お帰りなさい!!今日は、暑かったですよね。
美味しい麦茶を買ってきましたので、今いれますね」と声をかけてくれます。
それを聞けば、一徹部長の気持ちも顔もゆるみます。
「さゆり君、ありがとう」と笑顔で答えます。

さて、新人が入社し半年後、月1回のミーティングで、夢夫君と久しぶりに話しています。
「夢夫君、A社の担当になってどうかな?」
「はい、部長!担当者がとても良い方で、色々と教えてくれます。先日は飲みに連れて行ってくれました。楽しかったです」
「おいおい、相手はお客様だぞ!こちらが接待する側だ。甘えてばかりではダメだぞ。売り上げはどうなんだ」
(まったく、夢夫君はいつもこうだ!明るくていいが、調子が良すぎるので、困ったもんだ!)
とすこし眉間にしわを寄せて、きつい口調になった一徹部長。
「一徹部長!お任せください。仲良くなって新商品を売り込んできます。今の感触は良さそうです。
来週にはお返事いただけますので、待っていて下さい」夢夫君は相変わらず元気!
(私が新人だったころは、上司が怖かったものだが、夢夫君は怖がりもしないな。仕事とはこうあるべきということを次回アドバイスしないとな。)
「涼太課長、フォロー頼んだぞ」
「はい、それはもちろんです」
年が明け、3月末決算時期。
「めぐみ君、このデータ違うぞ!どうしたんだ」と相変わらず眉間にしわを寄せて話しています。
「えっ、あの・・・・・」
「また、間違ったのか!この決算で忙しい時期に、仕事を増やさないでくれよ」
「はい、申し訳ありません。。。」
そんな最中に夢夫君が外出先から戻ってきました。
「あっ!このデータ!これ僕が作成した違う会社のデータです!申し訳ありません。僕のミスです」
めぐみさん、トイレダッシュ!!
夢夫くんは、慌ててデータ探し!!
さゆりさんは、めぐみさんを追いかけてトイレへ!!
涼太課長は淡々とデータを探しています。

一徹部長は、完全にキレてしまい、書類を置いてどこかへ行ってしまいました。
どこに行ったかと言うと、会社の屋上です。
一徹部長は、イライラし過ぎるとここで少し頭を冷やすことがあります。
(この忙しい時期に・・・まったく困ったもんだ。)
そう思いながら、どうにかクールダウンしています。
そこへ、夢夫君が慌ててきました。
「一徹部長!!!僕のミスです。申し訳ありませんでした」と深々と頭をさげて謝ってきました。
「もういい!!でもこれから、入念なチェックをして提出するように。いいか!」
「はい、分かりました」
「あと報告は必ずすること!」
「はい、分かりました」
「そして、来月から先輩になるんだぞ。しっかり頼むぞ!」
「はい、はい頑張ります!」
「はい、は1回でいい。めぐみ君にも謝って来い!」
一徹部長は、4月から人数が増えるので、少し心配しています。
(まとめていかないとな!)
怒鳴ってばかりの一徹部長ですが、冷静になる方法を「メンタルヘルス研修」で学んだために、少し変化がみられてきています。
とはいっても、まだ眉間のしわは治っていません。
このような上司、あなたの周囲にもいませんか。
プロローグのテストで①が多かった方は、あなた自身が一徹部長タイプかもしれません。
では次回は、冷静な涼太課長です。
お楽しみに。
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