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         文/岡田百合香 イラスト/茂原敬子

※この記事はyenishiが作者である岡田百合香さんに企画依頼し、承諾を得て公開しています。無断での転用・転載はご遠慮願います。適切な目的でのご利用希望の際はこちらにお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 


 

 

 

 今回の主人公はクールでイケメン、

そして理論的で冷静沈着な涼太課長。

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鈴木涼太。35歳。既婚。現在は3歳の男の子がいる。奥さんも仕事をしており、充実したプライベートも送っています。頭もよく仕事もできる。あまり人には干渉せずにマイペースです。無駄なことは嫌いで合理的。少し冷たく見られることもありますが、人柄を知ると、ちょっとシャイないい奴です。


4月1日の入社式。涼太課長は、冷静に新人達を眺めています。

 

(今回は賑やかなちょっと子供っぽい新入社員が多いかな。まあ、誰が来ても僕は変わらないし、マイペースで仕事させてもらいますよ)

 

一徹部長を見ると何か物思いにふけっています。さゆりさんが話しかけています。
(一徹部長にモノ言えるのは、さゆりさんくらいだよな。大したもんだ)と冷静に人を分析しています。
そんな時、携帯が鳴りました。

「ちょっと、失礼します」と言って席を立ちました。クライアントからの電話です。

「はい、オッケー商事の鈴木です。いつもお世話になっております。はい、はい。そうでしたか。あの件は、解決しております。只今、入社式に出ていますので、1時間後にご連絡を入れます。宜しいでしょうか」このように涼太課長は、テキパキと仕事をこなしていきます。
 

一徹部長も涼太課長をとても信頼しています。

新入社員研修が終わり、営業3課に新人2名が配属されました。伊藤めぐみさんと岡本夢夫君です。

「はじめまして。岡本夢夫と言います!!どうぞ宜しくお願いします」
「岡本君、課長の鈴木涼太です。どうぞ宜しく。これから僕が君の担当で仕事を教えていくから頑張るように」
「はい、鈴木課長ありがとうございます。よろしくお願いします」

(夢夫君か~。なんだか元気だけは人一倍ありそうだが、調子良さそうだな。感情で動きそうだし、僕と違うタイプだから少し様子を観察しながら、関わっていくとするか)と涼太課長はいつもながら分析力抜群です。


人と付き合う時に、誰とでも同じように付き合うというよりも、相手を観察し分析して、彼なりのデータを作ります。そして人によって、伝え方を変え、接し方も工夫しているので、人とは上手く付き合えています。


これからの涼太課長の課題は、この異星人のような夢夫君にどのように教えていくかです。


「夢夫君、早速仕事だ。午後1時に大切なクライアントA社へ行くから、まずは挨拶しに一緒に行ってください」
「は~い、早速外出ですね! 嬉しいです。いや~営業ですね。僕何をすればいいですか?」
「あっ、いや、私は現在の状況伺いで行くんだ。当社の優秀な新人を紹介するつもりだから
、今日は何もしないで大丈夫だよ」
「はい! 優秀な新人なんて。涼太課長! 嬉しいです!!! 楽しみだな」

(やれやれ、クライアントへの挨拶大丈夫かな。う~ん・・・)
 



 

(やっぱり、あのテンションには疲れる。しかしそうも言っていられないな。彼を一人前にするために、これからじっくりと計画立てて、実行していくことにしよう。楽しみだ。)


午後は、A社へご挨拶。
夢夫君と一緒です。 

「いつもお世話になっております。本日は当社の新入社員の岡本を連れてまいりました」と夢夫君へ目くばせです。
「あっ、初めまして!オッケー商事の第3課の岡本夢夫と申します。どうぞよろしくお願いいたします」と、明るく大きな声と笑顔でお辞儀ができました!

(良くできたな。良かった)


A社を後にして、会社に戻った涼太課長と夢夫君。
涼太課長はA社との仕事の流れを夢夫君に説明しています。


「当社と長い付き合いの会社で、いわゆるお得意様だ。あちらの部長はとても良い方だが、くれぐれも話やすいからと言って、気やすくなり過ぎないように。マナーは守ってくれよな」とくぎを刺しました。
「涼太課長!本当に良い会社ですね。僕頑張ります!大丈夫ですよ。マナーはバッチリです」

(やっぱり、調子がいいな~。まあ暗くて自信がないよりはいいので、これからを期待しよう)
 

涼太課長は、会社ではテキパキと仕事をこなしていきます。計画を立てて実行し、ほぼ計画通りにやり遂げることができます。さらに、改善点は修正していき、周りからの信頼はとても厚い。人づき合いは、みんなでワイワイと楽しむよりも少人数で話したり、一人でのんびりする方が好きなタイプ。ストレスが溜まらないように、ジムに通ったり、趣味に没頭して、解消しています。

新人のころ、あまり淡々としているので上司から注意された記憶があります。そのために、なるべく相手には笑顔で関われるように意識して行動を変えてきました。こういった目に見えない努力もコツコツこなすのが得意な涼太課長です。

今は、異星人の夢夫君と関わることが、多少ストレスに感じながらも、セルフコントロールしながらこれからの教育を検討中です。
 

 職場では相変わらず、新人のめぐみさんが一徹部長に怒られています。
「まだ書類出来ていないのか!さゆり君どうなった!!」

(めぐみさんは、一徹部長の怒りのスイッチを押してしまうタイプだな。あれは修正していかないと、一徹部長もイライラが募るな。さゆりさんに一言アドバイスするか)
 


 

(さゆりさんは、いつも感じが良く素直だ。こうやって新人の面倒を見れるのは僕に足りない所かな)と涼太課長は、さゆりさんのことも分析しています。
 



 

「はい、売上ダウンの原因は、他の会社の新商品に取引先を取られてしまったことです。しかし、その商品は不評ということが分かり、今月は売上を取り戻すことが可能です。このデータをご覧ください」と涼太課長は、データを見せながら、論理的に説明しました。
「なるほど、それならば今月は売上戻せそうだな。涼太課長はいつも分かりやすく説明してくれて、助かるな。頑張ってくれよ」と一徹部長。

「いや、当たり前です。営業成績をこのようにデータ化してくことで、全員が同じ情報を共有できることが大事だと思いますよ」と分かりやすく堂々と皆に伝えます。

(よし!今回の分析も上手くいったな。一徹部長も分かってくれたようで良かった)

分析好きな涼太課長はまたもや皆から一目置かれました。

めぐみさんはうっとり顔。
さゆりさんは満面の笑顔。
夢夫君は、さも自分が成功したかのように、目をキラキラさせて涼太課長と一緒に一徹部長を見ています。


「夢夫君も営業頑張っているな。今月からA社の担当になったが、どうかな」と一徹部長。
「はい!! A社の担当者がとても良い方で、色々と教えてくれます。先日は飲みに連れて行ってくれました。楽しかったです!」とニコニコと元気に夢夫君は言いました。

そのやり取りを聴きながら、涼太課長はちょっとハラハラ。


(あ~、また夢夫君の余計トークが!!これも注意しないとな。)

「涼太課長もフォロー宜しく頼むぞ」
「はい、それはもちろんです」とクールに涼太課長は返事をしましたが、内心は冷や汗でした。


ある日の一徹部長とミーティングです。

「涼太課長、来期の売上予測はどうかな」
「はい、このデータをご覧ください。A社~G社のものです」とテキパキ説明をしています。
「いや~さすがだな。涼太課長は分析力はもちろんだが、説明が上手い!大したもんだ!」
「一徹部長、ありがとうございます」と笑顔で対応。
自分は出来ると自信を持っている涼太課長ですが、やはり褒められると嬉しいものです。

しかし、最近ある会社からヘッドハンティングされました。実は非常に悩んでもいる涼太課長です。
こんな時、一徹部長から温かく褒められると、涼太課長でさえ、やはり心が揺れてしまいます。

(オッケー商事より、大手だし給料アップも確実だ。人間関係は分からないが、大手へ行きたいよな。まだ返事する期間は半年あるから、じっくり考えよう)


部署に戻ると、夢夫君が待ち構えてたように、焦って声をかけてきました。
「涼太課長! 書類作成ってこれで宜しいですか?」
「これは・・・。ここ修正だ」

ある時は、
「夢夫君!このアポイントもしちゃったのか? 明日3件もお客様に行けるのか?」と指摘すれば、
「あ~、大丈夫ですよ。3件行っちゃいましょうよ」とけろっと応える夢夫くん。

またある時は、
「夢夫君!なぜここの売り上げが伸びないのか、調べてくれたかな?」と尋ねると
「はい、まだですが、この新商品が出ればきっと売り上げ伸びると思いますよ」と応える夢夫君。
「そんな推測ではだめだよ。しっかり分析するクセをつけなさい」と言えば、
「はい、はい、分かりました」と調子の良い返事が返ってきます。
「はい、は、1回でいいからね!」とだめ押ししながら、珍しく厳しい声を出してしまった自分に気づき、自己反省する涼太課長です。

 


この異星人とどう付き合えばいいのか、涼太課長は最近自分のペースで仕事が進まないので、少しストレスが溜まっています。

(異星人の夢夫のやつ、頼むからその調子の良さを治してくれないかな。それに分析力もそろそろ身につけてもらわないと!あ~、疲れる!!)


ある日、めぐみさんが声をかけてきました。
「涼太課長、最近疲れてますか? なんだか顔がいつもより怒っているみたいです」
「えっ!めぐみ君、そう見えるか。いやいや大丈夫だよ。気にかけてくれてありがとう」
(めぐみ君までにこのイライラ感が伝わってしまったとは!僕としたことが・・・・まずい!)
 

トイレに行って、顔を洗って整えている時に、夢夫君がやってきました。
「涼太課長、どうしたんですか! 顔洗っているなんて。夜は奥さんとデートですか!」と冷やかしてきました。
いつも冷静な涼太課長もさすがに怒りました。
「何言っているんだ! 君のせいで僕も振り回されているんだよ。早く仕事覚えてくれよな!」と言ってしまいました!!
「え~!!僕のせいですか。すみません・・・」

(あっ、言ってしまった。僕としたことが・・。ストレスが溜まっているとダメだな。今日はジムで汗を流してスッキリするか)


「夢夫君、さっきは怒鳴って悪かったな。仕事が忙しくてイライラしてたんだ。今日は早く帰ろう。僕はジムに行ってスッキリしてくるよ。夢夫君も今日はリフレッシュしてくれ」
「はい、これから仕事ご迷惑かけないように頑張ります。すみませんでした!!!」


さて、年度末の決算時期。営業3課は大忙しです。

涼太課長は、課の報告をするために、データ分析をしています。
そんな時、事件が勃発!!

一徹部長がめぐみさんに怒鳴っています。

(この忙しい時期に、まためぐみさんは、データミスか!しっかりしてくれよな)と思いながら、われ関せず。データ分析に集中しています。

そこに、夢夫君が営業から戻ってきました。

「部長只今帰りました。あれ!どうしんたんですか。何かありましたか」と夢夫君。状況を伺おうと、一徹部長の手元にあるデータをのぞき見ています。
「このデータミスが発覚して、上司から注意されたぞ。全く困ったもんだ」
「あっ!!!このデータって!! これ出しちゃったんだ。これ僕が作成した違う会社のデータです! 僕が渡したのが間違っていたんです!! 申し訳ありませんでした。僕のミスです」


(えっ、夢夫君のミスか!!!! 困った奴だ。どのデータだ)

「夢夫君、それは何のデータかな?」
夢夫君に聞きながら、パソコンでサクサクと調べます。

それを見ながら、夢夫君はバタバタしています。

「とにかく、一徹部長に謝って来い!そっちが先だよ」
「はいはい、分かりました!!」
「はいは、1回で言い!」と涼太課長も怒った口調です。

(よし、データ見つかったぞ。これで問題は解決だ。それにしても、この忙しい時期に一徹部長を怒らせてしまって、困ったもんだ)

 


 

涼太課長のように、仕事が出来て冷静、分析好きの人いませんか。
冷静と言っても、さすがに疲れますよね。

そんな時は、無理せずリラックスして明日に備えましょう。

 

ところで “ケロ”って何でしょう。
次回お楽しみに(^O^)/

 

「A社は当「夢夫君、相手の会社へ行ったら、ご挨拶と名刺交換だ。新人研修で習ったよね」
「はい、習いましたよ。もうバッチリです」

「ちょっと、さゆりさん」と涼太課長は少々困った顔でさゆりさんに声かけました。
「はい、涼太課長。何でしょうか?」と笑顔でテキパキ答えるさゆりさん。
「今日の午後A社に挨拶に行くんだ。申し訳ないけど、夢夫君の名刺交換を復習しておいて
欲しんだけど、お願いしていいかな」
「はい、もちろんです。では今すぐやりましょうか」
「さゆりさん、ありがとう。夢夫君午前中にしっかり名刺交換とあいさつ練習しておくようにね」
「はい、練習してA社でデビューします!!」と夢夫君は元気一杯です。

「さゆりさん・・・あれ!! 誰もいないじゃないか。そうかトイレと屋上か」

営業3課に一人になってしまった涼太課長。
ふ~っと深呼吸です。
その時、あれ!? 

頭に水が落ちてきた気がしました。

「何だ、この冷たいのは?」とあたりをキョロキョロ。

でも誰もいません。

『涼太課長、お疲れ様 今日は早めに帰ってリラックスケロです』

「何?何? 忙し過ぎて、耳がおかしくなったかな・・」と涼太課長は一人で伸びをしています。


『さて、第3課楽しみケロケロ』
 

ある日のランチタイム。
涼太課長はさゆりさんを誘って近くのレストランでランチです。

「さゆりさん、めぐみさんなんだけど、仕事はどう?」
「めぐみさん、いい子なんだけど、自主性があまりないんです。仕事も覚えたのかどうかも聞かないと分からないし、一徹部長とは気が合ってないですよね。ちょっと困ってます。何かアドバイスいただけますか?」
「めぐみさんは、オドオドしているところが一徹部長の怒りのスイッチを押してしまうんだよね。もっとハキハキ返事をしたり、笑顔で対応できるようになるといいと思うよ」
「涼太課長、そうですよね。めぐみさんは一徹部長が苦手なんですよ。挨拶も笑顔でしていないですものね。やっぱり笑顔であいさつと返事はしてもらうように注意しましょう」
「あとね、もっと仕事をマニュアル化した方がいいかな。作成するのは大変だと思うけど作ってしまえば、その後も使用できるし、どうかな」
「はい、そうですね。早速具体的なマニュアルを作成してめぐみさんに渡します。ありがとうございます」

第3課の1ヶ月に1回の営業ミーティングです。
全員が顔を揃えて、仕事の状況や改善点などを話し合います。

(売上10%落ちたんだよな。今日は一徹部長から言われるな! でも、説明できる準備は万全だ)
と前もって会議内容を予測して、準備を整えています。さすが!涼太課長です。


「みんなお疲れ! 営業会議を始めるぞ。先月は売上が対前年同月比10%ダウンだ。どうした。何があったのか涼太課長説明してくれるかな」と一徹部長は眉間にしわをよせながら、スクリーンに映し出された数字を見て言いました。

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