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頼みたいことがあるからご飯でも食べないか?と古い友人に食事に誘われた。

 

親友とも悪友とも違う、僕にとってはちょっと不思議な距離感を持つ友人だ。彼も僕も知り合った当時、演劇活動をおこなっていて、その共通点だけでインターネットを通じて広島と名古屋在住のまだ若い2人がつながった。以来、毎日のように連絡したかと思ったら、数年ぴたっと音沙汰がなくなったりするつかず離れずともまた違う、「つきすぎたり離れすぎたり」する関係。

 

数年間会っていなくても会えば、先週も会ったかのような態度で話し、とくに近況の報告もしない。お互いの近況もよくわからないまま会ってみたら、彼から一緒に芝居を作らないか?と持ちかけられた。

 

田町の「まごわやさしい」とは?

今回のコースメニューは、

 

・切り昆布と鶏のうま煮
・茄子の胡麻味噌田楽
・糸蒟蒻と蓮根の金平
・空心菜と豆もやしのナムル
・エノキの豚肉巻き
・秋刀魚土鍋ご飯
・そば粉とキャロブのスコーン


の計7品。

そうは言っても、15年以上も芝居から離れていた僕に手伝えることなどあるのだろうか? とりあえず食事でもしながら詳細を聞かせてほしいと「まごわやさしい」での食事をすることになった。あれこれ話を聞きながら出てくる食事を次々に平らげる。

 

大きなブランクがあっても芝居の話には夢中になる。時間は瞬くようにして過ぎ、あっというまに「秋刀魚土鍋ご飯」の登場だ。お店にとってもこの時期定番のメニューだけれども、やっぱり何度食べてもうまい。生姜が秋刀魚の臭みを消して旨味だけを見事に引き出してくれている。「お前そんなに食うなよ」と奪い合うようにしてぺろっと土鍋ご飯を平らげてしまった。

 

瞬間、過去の自分の記憶と現在がリンクした。いつも稽古帰りは仲間と連れだってとあるファミレスで食事をした。お店の名物メニューでもあったビールのピッチャーを器にしたパフェをみんなで騒ぎながら平らげるのだ。芝居の話をしながら、奪い合うようにして食べた思い出とともに、当時の様々な思いが去来した。楽しいことばかりじゃなかった。悲しい思い悔しい思いもたくさんした。でも、あんなに「生」を強く実感していた日々があっただろうか。

 

「やる」とも「やらない」とも答えないまま、友人のやりたいことをどうすれば実現できるか?の議論に夢中になっていた。公演は2015年の2月末。むくむくと蘇ってしまった芝居を作り上げるという麻薬的な楽しさや興奮はしばらく冷めそうにない。

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今回のレシピ

秋刀魚土鍋ご飯」

 

秋刀魚 一尾

生姜 ひとかけら

白だし(市販) 適量

 

秋刀魚は頭を外し、3枚におろして骨を外します。

店頭で購入時に外してもらうと手間がかからず簡単です。

生姜は皮をむき、粗めの千切りにします。

 

炊飯機に米、水、秋刀魚、生姜を投入し、白だし(適量)を加え炊飯をおこないます。炊きあがったら完成。

 

※ご自宅でも作りやすいようにアレンジをおこなっています。

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